「○歳以上の童貞は気持ち悪い」から「○歳での喪失が理想」を経て「○歳以上の童貞でもあせるな」へ……。男性の“童貞”をめぐる言説は時代とともに変化してきた。はたして、このような変化はなぜ起こり、また、そうした言説はどのように男性自身の考え・行動に影響を与えてきたのだろうか。 社会学者の澁谷知美氏による著書『日本の童貞』(河出書房新社)の一部を抜粋し、紹介する。(全2回の1回目/後編を読む) 「規格外童貞には精神的欠陥あり」 言説の流れを見ると「○歳以上の童貞は気持ち悪い」という声は、「その年になってまで童貞というのは、精神面に問題があるのではないか」という疑惑の声につながっている。 具体的年齢をあげて童貞を病理化する発言は、1974年に女子大学生が「23~24にもなって童貞というのは、ヘンに潔癖なのか、自信喪失なのか、マザーコンプレックスがあるのか、いずれにしてもマッピラよ」(*1)と述べる