故ジャニー喜多川氏による性加害問題は、今年3月に英BBCの番組が問題提起するまで、日本の新聞やテレビが大きく報じることはなかった。こうした「マスメディアの沈黙」が被害の拡大を招いたと指摘された。朝日新聞はなぜ、報じることができなかったのか。社内の関係者から聞き取ったうえで、12月、「メディアと倫理委員会」の有識者委員に問題点や課題を議論してもらった。(司会=久保田正・同委員会事務局長、写真は相場郁朗) ■本社編集部門への聞き取り調査 ◆聞き取り調査の概要 【対象】 週刊文春が報じた1999~2000年、性加害が裁判で真実と認定された03~04年、喜多川氏が死去した19年を中心に、芸能を担当する文化部と性暴力などを取材する社会部に在籍した記者や原稿を整えるデスク、部長らに聞いた。今年3月以降については、報道に関わった国際報道、社会、文化各部のデスクと編集局長室の担当補佐を中心に聞いた。計58