新型コロナウイルス感染症の影響で、公共交通も大きな打撃を受けた。通勤通学や旅行の需要が激減したことで、2020年度の乗客数が例年の半分以下に落ち込んだという会社もある。2021年度はわずかに回復傾向が見られるものの、テレワークやオンライン授業の普及などにより、乗客数がコロナ禍以前に戻ることはないとの見方が強い。 こうした状況下、減少した運賃収入を補うため、鉄道会社やバス会社はさまざまな知恵を振り絞っている。中でも、最近話題となっているものの1つが「貨客混載事業」だ。 路線バスで“産地直送” 貨客混載とは、旅客車両の空きスペースを使って貨物を運ぶというもの。実はコロナ禍以前から、特に地方のバス路線で貨客混載の動きは始まっていた。その多くは、バス会社と物流業者がタッグを組んでいる。バス会社にしてみれば確実な運賃収入が見込め、物流業者は一部区間の輸送をバスにゆだねることで、ドライバー不足や労働環