10年ほど前に「打倒サムスン」が叫ばれたことがある。その当時、日本の製造業の重荷と言われていた円高は、大きく変わった。しかし、サムスンは打倒できなかった。韓国の経済成長率は低下しつつあるとはいえ、まだ日本より高い。この状況は今後も続き、韓国は日本より豊かな国になると予測されている。なぜこんなことになったのか。 【詳細な図や写真】日本と韓国の差が縮まってきている(Photo/Getty Images) ●「打倒サムスン」は実現できなかった 2010年、当時のパナソニック社長、大坪文雄氏が、『我が「打倒サムスン」の秘策』という論考を『文藝春秋』に寄稿した。 その中で、日本の製造業がふるわない原因として、5つの点を挙げた。その中の1つが円高であり、もう1つは法人税であった。 これらは、大坪氏に限らず、当時の日本の経営者の多くが言っていたことだ。つまり、事業の内容やビジネスモデルが世界の変化に適応