家の中や庭に、物が積み上げられ、片付けられない「ごみ屋敷」。原因は個人的事情もありさまざまだが、高齢者の場合は認知症などが背景に存在する場合もある。どのような人に起こるのか。東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)介護・エンドオブライフ研究部門の井藤佳恵部長に聞いた。 ▽孤立した高齢者 物が散乱したままで生活が荒廃する状態は「ごみ屋敷症候群」とも呼ばれ、国内ではテレビの情報番組でたびたび取り上げられる。欧米では「ディオゲネス症候群」「老年期隠遁(いんとん)症候群」などと呼ばれ、50年以上前から知られている。 古代ギリシャの哲学者ディオゲネスにちなんで名付けられた。社会から孤立し、身だしなみや衛生面に無頓着となった高齢者が、不衛生な住環境で暮らす状態を指す。付随してさまざまな物を自宅内外にため込むようになる。 「ごみ屋敷症候群」に関する研究は、これまで西欧の都市部を中心に幾つか行われ