安藤雅司さん(53)は「若くして『もののけ姫』の作画監督を務めたアニメーター」として有名だ。作画監督は作品のクオリティーを決める重要なポジション。ジブリをやめたあとは、今敏監督の『パプリカ』や新海誠監督の『君の名は。』など、世界的に評価される作品を、献身的な仕事ぶりで支えてきた。今回、初監督に挑戦した安藤さんに、偉大な監督との葛藤やアニメーターとしての矜恃を聞いた。(取材・文:長瀬千雅/撮影:伊藤菜々子/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 53歳の監督デビューである。21歳でスタジオジブリに入ってから32年間、アニメーションの絵を描き続けてきた。「自分の本質はアニメーター」と言ったのは宮崎駿監督だが、安藤雅司さんは自らを「絵描き」と呼ぶ。その安藤さんが、『鹿の王』(上橋菜穂子著)という原作を得て、初めて監督に挑戦した(宮地昌幸さんと共同監督)。 「監督の役職とアニメーターの役職