ZINE(ジン)とは非商業的な自主制作の出版物を指す言葉である。人によっては同人誌、ファンジン、ミニコミ、リトルプレス、インディーズ雑誌といったほうが馴染(なじ)みがあるかもしれない。近年、このZINE文化が作り手からも読み手からも注目されている。既存の出版社や大手メディアへの信頼と期待が失われつつある中、プロ・アマ問わず独立性のある活動を重視する人が増えてきた。インターネットも偏った規制や匿名の悪意に晒(さら)される場所となり、ひとりの表現者が声を届ける手段としてZINE・同人誌のスタイルが見直されているのである。 ZINEについての概要と日本での歴史は、ばるぼら・野中モモ編著『日本のZINEについて知ってることすべて』(誠文堂新光社・2860円)に詳しい。本書に収集された膨大な図版と証言を見れば、はるか昔から日本で豊穣(ほうじょう)なZINE文化が培われてきたことがわかる。 そもそも属