「夭折(ようせつ)は不可能になりました。十九才で作った完璧を九十才まで持ち堪(こた)えなければならないわけです」 須永朝彦(あさひこ)から第一歌集『東方花傳』を贈られた種村季弘(すえひろ)は、礼状に書いた。さらに「塵芥(じんかい)処理場に生きながらにして葬られる人工花の絶対の不毛を見届けたい」と続けた。絢爛(けんらん)華美にして超絶技巧を凝らした短歌。しかし遊戯の裏側は全く虚無であるという歌人を、的確に捉えた評言である。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く