著者は35歳、独身。職業は大学の非常勤講師。借金は635万円。日本学生支援機構から借りた奨学金だ。年収は80万円だが、これでも収入は上がってきた。大学院を出た09年から13年までは10万円だった。もちろん、現在も自力では暮らせない。埼玉県の実家で、親の年金に寄生して生きている。 「ろくでなし」、「ひとでなし」、「いいかげん働け」 と批判が飛んできそうだが、著者は拒絶する。やりたくないことはやりたくない。はたらなかないで、たらふくたべたい。合コンに行きたい。もてたい、もてたい、もてたい。本を読んでごごごろしたい。通勤電車はいやだ。完全にだだっ子なのだが、著者は自らの生のうめきを過去の歴史上の思想と結びつけ、なんだか心地の良い生き方を示してくれる。 本書の中で頻繁に登場するのが大杉栄だ。「アナーキストで関東大震災の後で虐殺された人」程度の認識しかない人も少なくないだろう。 赤ん坊になりたい。お
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