メトロ12号線Trinité - d'Estienne d'Orves 駅周辺は閑静な地区であった。目の前にはサント・トリニテ教会(Église de la Sainte-Trinité)が白く輝いていた。 この雪のように白いサント・トリニテ教会から歩いて数分のところに、ギュスターヴ・モロー美術館(Musée Gustave Moreau)が、ひっそりと建っていた。 通りには誰もいなかった。本当に静かな場所だった。 入口から階段を上がり展示室へ向かう──もうすでにギュスターヴ・モローの作品そのものの中に入っていくような感じがした。 静かで美しい広間にモローの作品が数多く展示してあった。ギリシャ神話と聖書の物語からなる豪奢な世界。その色彩が眩かった。 精神の快楽と眼の歓びのために、彼は何か暗示的な作品を求めていた。つまり、おのれをある未知の世界に投げこんでくれるような、新しい臆説の跡をあばい
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