某所にブックレビューを書いたので転載。 『南京「百人斬り競争」の真実』 東中野 修道著 ワック発行 題名から、百人斬り競争に関する「真実」を書かれていると期待した人もいるでしょうが、その期待は肩すかしに会うでしょう。143頁に「両少尉が「俘虜および非戦闘員の連続屠殺」や「据えもの斬り」をしなかったという明らかな証拠はなかった。両少尉が「俘虜および非戦闘員の連続屠殺」や「据えもの斬り」をしたという明らかな証拠はなかった」と述べているとおり、両少尉の虐殺行為の有無に対しては「どちらとも断言できない」というスタンスがとられているからです。 さて、この本の基本的な問題点は、最近発見されたり公表された史料や論文が無視されていることです。 議論となっている「東京日日新聞」記事とは別に、N大尉が友人に宛てた手紙が「大阪毎日新聞鹿児島版」に掲載されたこと、その手紙には「南京入城まで百五斬つた」と書かれてい