MDは、カセットテープのデジタル版という位置づけだ。メディアを入れ替えることでアーティストやアルバムを入れ替える。1979年のウォークマン誕生以来、外で音楽を聞く際のこうしたお作法は、ずっと変わらなかった。 一方でiPodは、メディアの入れ替え不要で、手持ちの音楽を全部持って行ける。ただ、パソコンが必須ということで、ユーザー層は明らかにMDとは違っていた。 現在IT業界で生き残っている40~50代の人達に話を聞くと、MDを使ったことがないという人が多い。これはMDなら友だちと気軽にメディアを交換できて音楽の幅が拡がるとか、ベストセレクションを彼女にプレゼントするといった特性があったからで、要するに今でいうところの「リア充」にしか浸透していなかったからである。 MD使ったことない、あれは大して流行ってなかったと主張するIT・パソコンオジサンを見かけたら、どうかそこは深掘りせず、「ああ……ね?