恋愛、仕事、人生――。リアルな女性を表現し、同世代の女性から支持される土岐麻子さん。ソロとしてスタートしたときの苦悩、女友だちに救われた経験を通し、たどり着いた「自分の音楽」とは? (文 中津海麻子) ◇ (前編から続く) ソロになって、自分の音楽を見つめ直して ――メジャーデビューした「Cymbals(シンバルズ)」ではどんな音楽や世界観を目指していたのですか? メーンカルチャーのカウンターとしてサブカルチャーがあるならば、その中でもさらにカウンターでいたい――。私はそういう気持ちでいました。正直、たくさん音楽はあるけれど、当時自分が聴いていて満足できる音楽があまりなかった。それが幸福だったとも思っています。だって、満足していたら私たちがいる必要がないし、満足できていないからこそいろんなアイデアが生まれ、ワクワクしながらバンド活動ができたわけですから。 ――「ポスト渋谷系」と称されたりも