世界の君主国における「御家断絶」への対応はじめに 昭和四十三(一九六八)年四月三日のことだ。衆議院内閣委員会において稲村隆一議員(日本社会党)が田中龍夫・総理府総務長官にこう問うた。 もし、皇室、皇族に男子がなく、しかも天皇が突如として崩御された場合、どうするか。そんなことはあとのことだから、どうでもいいと笑う人があるけれども、笑う人が間違っている。そういう場合には、憲法の運営はできなくなってしまうじゃないですか。 第五八回国会 衆議院 内閣委員会 第八号 昭和四十三年四月三日 令和五(二〇二三)年時点の日本においては、皇統断絶は国家の危機を意味する。日本国憲法が規定している国事行為がことごとく実施できなくなるが、憲法も皇室典範も改訂できないために新たな天皇を擁立することも不可能なので、国が深刻な機能不全に陥るのである。 さて、ここで国外に目を向けてみると、継承者が全滅した際の対応について