(英エコノミスト誌 2013年11月9日号) 日本の大企業は表向きはアベノミクスを支持しながら、内心では警戒している。 日本の文化は、正直な気持ちを意味する「ホンネ(本音)」と、公の場で言わなければならない「タテマエ(建前)」の区別を非常に重視する。 日本の安倍晋三首相が昨年返り咲きを果たす直前、大企業のロビー団体である経団連の米倉弘昌会長は、経済を再生させるための安倍首相の大胆な戦略「アベノミクス」について本音をもらすという重大な過ちを犯した。アベノミクスが提唱する金融政策の大幅緩和は「無鉄砲」だと述べたのだ。 米倉会長は発言を撤回したが、安倍政権から冷遇された。以来、企業経営者たちは建前を貫き、アベノミクスを支持する当たり障りのない発言に終始している。ただ、内々には、多くの経営者はあまり熱心ではない。 安倍首相の率いる企業寄りの自民党が政権に返り咲いた際、大企業は大喜びした。それまでの