2011年の日本の貿易収支が赤字化したことを受けて、近い将来、日本の経常収支黒字が消え、赤字化するのではないかとの懸念が生じている。それを前提に、日本国債が暴落しかねないとの意見がある。本連載では、その意見を批判的に検証してきた。前回は、経常収支が赤字化するとしても、日本国債の金利低下要因は消えにくいことを、貯蓄・投資バランスの視点から示した。 しかし、多くの人がいちばん知りたいのは、日本の経常収支の黒字基調が今後も続くか、それとも、近い将来には赤字化しそうなのか、だろう。 そもそも、2011年の日本の貿易収支赤字化は、エネルギー輸入金額の増加で大部分が説明できる。これが一時的なものか、今後もっとひどくなるのか、判断は難しい。それでもなお、日本企業が国際競争力を失っていることを懸念し、日本経済そのものの競争力が低下していると感じる人たちは、日本の経常収支黒字は縮小するはずで、やがて赤字化す
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