2011年の日本の貿易収支は31年ぶりの赤字となった。貿易収支や所得収支などを合計した経常収支でも前年に比べて黒字が大幅に減少。貿易収支の赤字化によって、いずれ経常収支も赤字化するのか。モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミストが分析する。 2011年の貿易収支が31年ぶりの赤字となったことで、日本の経常黒字の持続性に関する議論が活発化している。市場参加者のなかには経常黒字が早ければ向こう2~3年程度で消滅するとの意見も見受けられる。ただし、我々(モルガン・スタンレーMUFG証券)はそうした見方を取らない。時期を明示することは難しいが、世界でダントツの250兆円超の対外純資産を背景とした安定的なインカムゲイン(配当や利息などの収入)があるため、少々の貿易赤字では経常収支は赤字化しない。このため、黒字の累積とともに対外純資産がさらに積み上がるというプラスのフィードバックルー