火はもう完全に建物全体に回っていた。 しかし、まだ明智は肝心のものを見つけられなかった。焦る。 そのとき、突然、暗闇に声がした。 「ハッハッハ 明智くん。私ならここだよ」 明智は声をするほうに顔を向けた。上だ! するとどうだろう。 そこには気球に乗って空に舞い上がる男が見えるではないか。 「残念だったね。もう少しだったがね。明智くん」 「くそっ! またもこの屈辱。おい、鉄砲を持ってる者は撃て!」 明智に命じられて幾人かが鉄砲を発射したが当たらなかった。 「それでは、さらばだ。明智くん、また会おう!」 「くそう! 待て! 信長!」