コロナ禍でもリモートワークに踏み出せなかったのが、自治体の地方公務員たちだ。ITインフラの未整備や「出勤が基本」の横並び主義、そして紙&ハンコベースのアナログ環境――。上層部から降りかかる新規業務に振り回され、市民からのクレームも絶えない。悪戦苦闘する若手地方公務員を取材して見えてきたのは、日本のIT化を阻む「昭和おじさん」の存在だった。(取材・文:山野井春絵/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース 特集編集部) 立ちはだかる「昭和おじさん」「おい、今夜、飲みに行くぞ。行けるよな? いまのうちに、行けるだけ行っとかないと!」 都内某役所の政策企画部門に勤める地方公務員の安田佳和さん(仮名・38歳)が、上司のA課長(54歳)からそう声をかけられたのは、今年の3月のこと。夜の外食を控える人が増えるなか、A課長は安田さんを含む部下数人を行きつけの居酒屋に召喚、酒をあおりながらゲキを飛ばした。 「俺