2012年7月。就活の面接のために恵比寿にいた私は、 たまたま駅で、この広告を見かけました。確かJASRACの屋外広告だったと思います。どこの代理店だったんだろう。ちょうどその半年弱前、長年闘病していた母を亡くしていました。 亡くなった時、就活の書類審査の時期真っ只中で、病院で母と会う合間にエントリーシートを書いていたのですが、「自分の親の窮地に自分のことしか考えられない自分に、強みなんてない」と思うようになり、やがて少しずつ文字が書けなくなりました。当然、そんな状態で応募した会社は全部書類で落とされました。 母が亡くなった時、泣いたら自分が崩れ落ちそうで、頑なに泣かなかった代わりに周りの世界の色がうまく認識できなくなり、味覚を失っていた時期がありました。それでも人の心を動かすものを作る仕事がやっぱりしたくて、ずっと広告の仕事を志望していました。 この看板も、今や検索にも引っかからない看板