菅義偉首相が3日、自民党総裁選不出馬を表明した。新型コロナウイルスへの対応で、後手に回るなど国民から批判を浴びた。国民への説明の場となるはずの国会での答弁はかみ合わず、記者会見でも質問に明確に答えず、国民の心に首相の思いは最後まで届かなかった。1年の短命に終わった菅政権とは何だったのか聞いた。 コロナ対策、世論と隔たり 竹中治堅・政策研究大学院大学教授 菅政権の実績と言えるのは、発足後1年でデジタル庁を創設したことなどが挙げられる。国内の温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにする方針を表明し、75歳以上の後期高齢者の医療費負担を引き上げ、最低賃金の引き上げを決めた。不妊治療の助成制度も拡充し、少子化が進む中で、将来世代のための政策を実現しようとした。新型コロナウイルス対策として推進したワクチン接種は治験を行うためにスタートが遅れ、1日1…