小さな蘭の鉢植えを窓際に置いた。 富貴蘭(ふうきらん)という名の東洋ラン。 江戸時代から好まれてきた古典園芸植物だ。 徳川十一代将軍家斉が好んで収集した蘭としても知られる。 母がまだ元気だった頃、とても大切に世話をしていたのがこの富貴蘭だった。 甘い香りの白い小さな花が咲く。 母が亡くなった後、自分が世話を引き継いだのだが、悲しいことに数年前に枯らしてしまった。手入れの仕方がまずかったのかもしれない。 それがとても残念で、以来ずっと新しい株を探していたんだけれど、 母の蘭は "玉金剛" (たまこんごう) という富貴蘭の中でも少し珍しい品種だったので、なかなか見つからなかった。 それをようやく見つけた。 蘭には洋ランと東洋ランがあって、日本や中国が原産のものを東洋ランと呼ぶ。 蘭というと胡蝶蘭を思い浮かべる人が多いと思うけど、胡蝶蘭は洋ランの仲間だ。 この富貴蘭は東洋ランのフウラン(風蘭)