2月25日のNHK番組「クローズアップ現代」で、デートDV(恋人からの身体的・精神的暴力)を特集していました。内閣府の調査によれば、女性の約5分の1、男性の約10分の1が経験していると紹介され、「現代日本の若者は、人間関係が希薄化していく中で、愛と束縛を混同する傾向がある。」と番組では分析されていました。確かに、愛と束縛を区別することが困難になってきているように私も感じます。しかし、愛と束縛を客観的に区別する基準は何か、と改めて問われると、難しい問題だと思います。この定義の難しさは、DVの定義の難しさと同じ性格のものだと思います。 DVの客観的定義を試みた論考に、宮地尚子さんの「支配としてのDV―個的領域のありか」(『現代思想』vol.33-10、2005年)という論文があります。宮地さんのクライアント女性(バタード・ウーマン)がみんな「面接室のソファーに浅くしか腰掛けない」ことから発想し