人を喰う鬼たちを相手に、刀を振るい戦う鬼殺隊の活躍に魅了された吾峠呼世晴のマンガ『鬼滅の刃』。ライトノベルやエンターテインメント小説でも同様に、人の心を惑わして殺戮へと駆り立てる“鬼”や“悪魔”を探し出し、滅ぼしていく退魔の物語がいくつも書かれている。 異能を操り鬼を封じる戦士たち『筺底のエルピス』 2014年から刊行中のオキシタケヒコ『筺底(はこぞこ)のエルピス』(ガガガ文庫)シリーズもそのひとつ。人類に害をなす鬼を相手に、封伐員と呼ばれる異能の持ち主たちが挑むストーリーには、『鬼滅の刃』から感じられたバトルものの面白さが詰まっている。加えて『筺底のエルピス』は、第3回創元SF短編賞で優秀賞を獲得した作者らしく、宇宙人や異次元といった概念が絡み、時間移動という設定も入った本格SFとしても楽しめる。 鬼という存在が、昔話に出てくるようなモンスターとは違っている点が『筺底のエルピス』の特徴だ