社説天声人語アサヒ・コム プレミアムなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら) ご近所を歩くと、回収待ちの古新聞を戸口で見かける。弊紙であればもちろん、他紙でもお宅に一礼する癖がついた。無料の情報があふれる時代、新聞代を払ってくださる読者は社を超えて大切にしたい▼感謝の念はおのずと新聞を配る人にも向かう。日本の新聞の95%は戸別配達されている。「新聞配達の日」のきょうは、日本新聞協会が募ったエッセーから紹介したい▼北海道苫小牧市の亀尾優希さん(9)は、母の新聞配りを手伝う。貧血気味のお母さんは団地の3階まで、娘は4階と5階。「家に帰ったら、お父さんのおべんとうにいれるたまごやきを作ります。こうして、わたしの一日ははじまります」。小さな働き者を真ん中に、固く結ばれた家族が浮かんでくる▼「インターネットでは得られない情報が、伝える人と届ける人の誠意の集大成とし