徳川時代商業叢書 苐一 - 国立国会図書館デジタルコレクション 【現代語訳】 二代目の市兵衛も、長崎に手代を派遣して商売をしました。 その他に、少しずつ堅実な町貸し[町人相手の金貸し]もしました。 商品は蔵に積んでおいて、利益が出ないときは、売らずにいつまでも貯えておいたので、遠くから入手した貴重な商品なども多く所持し、堅実な暮らし向きを保っていました。 しかし、三代目の市兵衛は、素行不良でぜいたく者だったので、次第に日々の出費が多くなりました。 二代目のように堅実に商品を蓄えておくのは、手っ取り早く金にならないのでやらず、その上、どんぶり勘定なので、収入と支出の計算がいつも合わないようになり、日々の出費も増える一方で、おさまりませんでした。 そして、ふと大名貸し[大名相手の金貸し]を始め、やめたくても引くに引けなくなってしまい、よそから借金までしましたが、それでも首が回らなくなり、十四、