かつて繁栄した場所が、時代の移り変わりとともに忘れられ、ひっそりと大自然に侵食されている様子は心揺さぶる美しさがあると感じます。 今回ご紹介するのは鹿児島の「曽木発電所遺構」。渇水期の5月~9月にだけ、ダム湖の中から姿を現す遺構です。まさに秘境といった雰囲気で『天空の城ラピュタ』を彷彿とさせる世界観。湖の中にあることから「カリオストロの城」なんていわれることも。 曽木発電所遺構は明治42年(1909年)に竣工された水力発電所の跡で、発電量は最大6300キロワット。その当時の国内最大級の出力です。そのため周辺の下ノ木場地区は、スナックなどが立ち並ぶ栄えた一大集落だったそうです。 しかし度重なる河川の氾濫により、洪水調節と発電を目的とした鶴田ダムが建てられることになり曽木発電所は廃止の運命に。ダムが完成し貯水開始した昭和40年(1965年)湖底に沈みました。今は渇水期の5月~9月になると湖底か