○橋爪大三郎、大澤真幸、宮台真司『おどろきの中国』(講談社現代新書) 講談社 2013.2 刊行当初から気になる本だった。中国について著作の多い橋爪大三郎(1948-)氏はともかく、なぜ大澤真幸(1958-)と宮台真司(1959-)が?とフシギに思っていたら、あれよあれよで15万部を突破したそうなので、そんなに売れているなら読んでみることにした。 鼎談に先立つ2011年9月、大澤、宮台両氏は、橋爪大三郎氏とその奥様の張静華氏の案内で、上海、長沙、北京、天津等々を旅行し、名所旧跡に加えて、庶民の生活の場を訪ね、中国の学者と討論し、「何年も中国に滞在していたとしても、ここまで多くを見たり、いろいろな人に会ったりはしないだろう」というディープな旅を体験したという。それゆえ、本書には、中国問題の専門家だけに閉じた構えもないし、実態をかけ離れた無知な発言もない。大澤、宮台両氏が、体験や観察を踏まえて