イルカの追い込み漁を「残酷だ」とする世界動物園水族館協会(WAZA)の警告に従い、加盟水族館に漁で捕獲されたイルカの入手を禁じることを決めた日本動物園水族館協会(JAZA)。 だが、漁がなぜ残酷なのかという疑問や不満が、漁の地元やJAZA内部にくすぶっている。JAZAからの離脱を検討する水族館も出てきた。 紀伊半島南東部の和歌山県太地町。切り立った岩場に囲まれた、「影浦」と呼ばれる入り江が漁の現場だ。 「残酷との批判はあたらない」。JAZAの決定から2日後の今月22日、町を訪れると、「町立くじらの博物館」の桐畑哲雄副館長(55)が強い口調で訴えた。同館によると、この地でイルカやクジラの漁が始まったのは400年以上前。追い込み漁は、昭和初期には導入されていた。音に敏感な習性を利用し、漁師が複数の漁船から金づちで「カンカン」と金属音を出しながら入り江に追い込み、網で捕獲する。 この漁を