「主婦、FXで1億4000万円の脱税!」。昨春センセーショナルな見出しがニュースや新聞をにぎわした。それを知って、まず耳を疑い、次に「とんでもない奴だ!」という怒りより、(不謹慎かもしれないが)「すごい!」という、感心とも羨望(せんぼう)ともいえるような気持ちを持った人も少なくなかったと聞く。 ところで、「ミセス・ワタナベ」という名前をご存知だろうか。脱税した主婦のことではない。日本の一般主婦投資家の総称である。 なぜ“ワタナベ”なのかは定かではないが、この事件以来、主婦投資家を中心に、FX※は絶大な注目を浴びる商品となり、着実に伸びていった。その資金残高は、外国為替市場に影響を及ぼすほどとなったのだ。そして、このような投資家たちを「ミセス・ワタナベ」と称して、フィナンシャル・タイムズ紙など名だたる海外紙にまで取り上げられたのである。 ※ FX:Foreign Exchangeの略。