福岡県大牟田市の鉄骨加工会社で作業中に事故に遭い後遺症が残ったとして、埼玉県幸手(さって)市在住の中国人男性が近く、同社を相手に慰謝料など約3300万円の損害賠償を求める訴訟をさいたま地裁に起こす。男性は外国人研修・技能実習制度で来日。法で定められた講習を受けずに無資格でクレーン操作していたといい、弁護士は「研修生への安全管理のずさんさを示す事例だ」と訴えている。 男性は中国山東省出身の陳晨さん(22)で、07年11月に来日し、直後から大牟田市の鉄骨加工会社で金属加工作業などに従事していた。訴えによると、08年5月19日夜、工場内で1人で残業中、ワイヤで束ねた鉄骨(長さ約9メートル、重さ約200キロ)3本をクレーンで移動させている際、ワイヤが突然外れ、鉄骨が直撃。左足を骨折し、十分曲がらないなどの後遺症が残った。労働安全衛生法などで定める講習が必要だったが、研修先は受講させていなかった。【