2022年7月の参議院選挙で勝利をおさめた後、岸田文雄政権は急速に国民の支持を失い、今や各種世論調査で低支持率が続く窮状に陥っている。調査によって一定の幅はあるが、支持率はおおむね20%台から30%台の前半となり、もう一歩底割れすれば、内閣が崩壊しそうな雰囲気ではある。 岸田政権を巡る「宙づりの政治状況」 とはいえ、今のところ自民党内で岸田に代わって総裁候補に名乗りを上げるような人物は見当たらず、野党による政権交代への機運が特に高まっているわけでもない。政権を揺るがすよほどの“一大事件”でもない限り、岸田政権が低支持率のまま続く気配が濃厚である。 こうした「宙づりの政治状況」をどう見るべきか。何がこの状況を生んだのか。この状態から脱するにはどうすればいいのか。本稿では二つの観点から考察してみたい。 第一は、「長期政権後の政権運営」という観点である。史上最長政権となった安倍晋三政権とそれを実