日本の経済論議の二大悪癖は、歳出の当初と補正を連結して前年度と比較しないことと、税収の当局の見積りを鵜呑みにして点検しないことだ。要するに、まともな経済運営の議論のレベルに達していないということだね。国際的に見たらお恥ずかしい限りだが、これが現実だ。それでも、最近、税収の弾力値の大きさを巡って議論がされるようになったのは、一歩前進である。それを紹介しているのが、今日の「エコノフォーカス」だ。 まず、押えておきたいのは、税収の弾性値では短期的な税収は計れないということだ。当たり前だが、弾力値を出すのに10年分なりのサンプルを使うなら、それは長期的な傾向を示すものにしかならない。したがって、財政当局は、景気回復で短期的に税収が伸びそうなときに、税収を低く見せようと好んで持ち出すことになる。税収の弾力値について議論すること自体が当局の土俵に乗るようなものである。 景気回復期に税収が急増するのは法