異次元緩和でデフレ脱却を図るという試みは壮大な実験であった。この実験は、完全に失敗に終わったと評価できよう。原油価格の急落の影響もあり、現在のところ、「2年で2%」というインフレ目標は実現できていない。 この厳しい現実は、日銀自身も認識しているはずである。なぜなら、日銀はインフレ目標の達成期限を、時間が経過するたびに修正してきたからだ。 まず、2013年に異次元緩和を開始した直後、日銀の黒田東彦総裁は「2年で2%」を強くアピールした。だが、2013年4月下旬には「2年程度で2%程度」と、「程度」という表現が加わった。そして、2014年10月の量的・質的緩和第2弾後の展望レポートでは、「2015 年度を中心とする期間に2%程度」に変化した。 こうした修正から明らかなように、もはや日銀自身も、2%インフレ目標を早急に実現できると確信してはいない。また、政府・与党も、2%のインフレ目標を早期に実