われわれはおカネのいったい何を知っているだろうか。 おカネを使いこなすのには特別の訓練も知識もいらない。小学生になれば、自然に使いこなしている。マネタリーベースとか、預金準備率なんて知らなくても何も困らない。おカネそのものを商品にしている人なら、おカネに関する深い知識を持っているだろう。しかしそれでも、おカネの根本的な仕組みについて問い直すことはあまりないと思う。 なぜならそれは、経済学がとっくに解き明かしているのだから。 はたして経済学は、おカネの何たるかを解き明かしているだろうか。 経済学者ガルブレイスはこんな記述をしている。 経済学の他のいかなる分野にも増して、貨幣の研究は、真実を明らかにするためではなく、真実を偽装し、あるいは真実を回避するために、複雑さが利用される分野なのだ。 p9 『マネー その歴史と展開』 ジョン・ケネス・ガルブレイス ガルブレイスがこの本を著したのは1976