今回は「徹底分析アベノミクス 成果と課題」という本の書評です。 シェイブテイルの感想は「大変興味深いのに歯がゆい本」でした。 この本にはリフレ派、反リフレ派、財政健全派など、日本デフレ脱却の議論に登場し、対峙する立場の論客がオールスターといっていいほど登場しています。 それにもかかわらず、何が歯がゆいかといえば、デフレ脱却の肝心要の議論だけを全員が慎重に避けているようにみえることです。 立場主張こそ違え、デフレ脱却が必要という点では一致しているはずですので、その観点から主要な章を追って、各論者の視点をみてみます。 ■第1章 ゼロ金利制約下では金融政策で物価はコントロールできない 翁邦雄氏 翁氏は日銀内部における金融研究の第一人者でした(現在は京都大学公共政策大学院教授)。 紙幅の大半はリフレ政策批判に使われています。 ただ、注目すべきは以下の主張です。 (ラルススベンソンの名目為替レート減