2017年4月9日、1人の男がプロトンに別れを告げた。トム・ボーネン。16年のキャリアの中で、「北の地獄」とも称されるパリ~ルーベにおいて優勝4回、2位2回、3位1回を記録。14回目の出場となるこの大会をもって、プロライダーとしての生活に終止符を打った。彼がトップシーンでの戦いを終えた今、最後のパリ~ルーベ当日の様子を振り返るとともに、長きにわたったキャリアを祝福しようと思う。 2012年のパリ〜ルーベを制し石のトロフィーにキスするトム・ボーネン。この時は53kmを独走する驚異的な走りだった Photo: Yuzuru SUNADA 勝利にこだわって最後のスタートラインへ 「北のクラシック」のハイライトとなるパリ~ルーベ。第115回を迎えた今回は、いつもとは違った様相だった。それもそのはず、早くから本人が公言していた「トム・ボーネン現役引退」の日なのだから。レース出発の地、フランス・コンピ