日経ビジネス8月12日号特集「見直せ 学歴分断社会」では、同じ国に暮らしながら大卒者と非大卒者が交わりにくい分断の実情のほか、大卒であっても転落・困窮など苦難に直面するケースをまとめた。大卒型人生モデルはそれだけで決して安泰ではない。教育費をはじめ、都市での生活コストが家計の重荷になり、約5500万円の生涯年収の差が簡単に消えてしまう可能性さえある。 夫:「ちょっと、こんな金額だなんて聞いてないよ」 妻:「ずいぶん前に言ったはずよ。聞いてなかったわけ? そもそもあなた、全然、受験に協力的じゃないし」 夫:「今、その話は関係ないだろ。今言っているのはお金の話で……」 妻:「だいたいあなたは昔からさ……」 東京都内に住むA夫妻の7月の食卓での会話を再現すると、こうなる。 思わずヒートアップしてしまった会話のテーマは、小学6年の長男が通う「夏の塾代について」だ。大手進学塾での夏期講習の費用に加え