橋下徹大阪市長の「維新版・船中八策」で、ベーシックインカムの導入が検討されています。ベーシックインカムは「生存権」を基本的人権として、国家が国民全員に最低限の所得を保障する制度で、これによって貧困問題は解決できると主張するひともいます。 新自由主義の立場から市場の活用を掲げる維新の会がベーシックインカムを取り上げるのは、社会保障から国家の関与をなくし行政を簡素化できると考えているからでしょう。「20歳以上の国民に一律に月額7万円を支給する」と決めてしまえば、年金も失業保険も生活保護もすべて不要になります。 いいことだらけのようなベーシックインカムですが、現実にはこのような政策を採用している国はひとつもありません。しかし歴史をさかのぼれば、きわめてよく似た貧困救済策を実施した例が見つかります。それは、産業革命勃興期のイギリスです。 近代以前は、貧富の差は身分の差であり、農民は貧しいながらもな