「新潮社に面白い仏教書を手がける編集者の方がおられるんですが、彼がね『文壇ならぬ仏壇を!盛り上げましょう』と言うんですよ」。 新潮社 新書編集部の金寿煥(きむ・すはん)さんのお名前を聞いたのは2年前、釈徹宗先生からである。新潮新書のひねりの効いた仏教書ラインナップ、『考える人』の仏教特集の影にこの人あり、というのが金さんだという。私もよく「なぜお坊さんインタビューを?」と聞かれるけれど、金さんはどうしてまた仏教の本を作るようになったんだろう? 素朴な疑問を携えて、”仏壇編集者”に会いに行くことにした。 文学界に”文壇”、仏教界には”仏壇”!? 一般的に、「仏壇」といえば、家庭にある仏さまを祀る”厨子”であり、ご先祖様のご位牌を納める祭壇。つまり、いわゆる「お仏壇」である。ゆるぎないイメージをものともせず、「仏壇」という言葉に新しい意味を吹き込もうとするなんて、はっきり言って力技だ。まずは、