ロシアの物流構造の特徴は、鉄道、パイプラインといった装置型輸送路のシェアが高い。また、道路輸送のシェアが極端に低いという物流構造の特徴はさらに強まっている。 2022年2月24日に始まったロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻は首都キエフ近くで膠着(こうちゃく)状況を続けている。 ここではこの戦役の背景として、ロシアおよびウクライナ両国の物流構造を探ってみよう。 まず、ロシア、およびウクライナの物流の特徴を理解するため、両国の輸送モード別の貨物輸送分担率を見てみよう。 「t・km」という単位貨物輸送における分担率の国際比率(画像:本川裕) 図には、世界の主要27か国の貨物輸送の分担率を掲げた。ここで、分担率とは各輸送モードのt・km(トンキロ)ベースの輸送量の構成比をいう。 t・kmとは、輸送した貨物の重量に輸送距離をかけた貨物輸送総量を表す単位。データは、ヨーロッパ諸国を中心に世界63か国