速水元日銀総裁が亡くなった。哀悼の意を表したい。 速水氏が総裁として在任した「速水体制」は、金融&プルーデンス政策の凝縮した5年間であった。ゼロ金利、量的緩和、時間軸政策、株式の買い取り。水面下では非伝統的手段(質的緩和)が議論され、取材ネタはテンコ盛り。何か起きて日銀が何かやるたびに、知識が新たに蓄積されていく日々であった。最近話題の銀行券ルールができたのもこの時代。お陰で日銀B/Sから見るオペ(&政策)に土地勘が持てるようになった。 その後の福井体制、そして現在の白川体制。政策をめぐって色々と議論されたが、多くは速水時代の大いなる決断の後日談のようなもので、某幹部いわく「速水体制の遺産で食っている」わけだ。バブル崩壊に見舞われた各国中銀の政策論が古参金融マンに概ね理解できるのも、速水時代の経験があるため。その意味では我々の知識の源泉となった時代である。速水体制は金融政策史上、評価されて