安倍首相は、台風19号などを踏まえた災害対策、消費増税対策、世界経済の下振れリスクへの備え、東京五輪後の景気底上げなどを柱とする経済対策の策定と2019年度補正予算の編成を指示した。補正予算は年内にまとめられ、2020年1月に召集される通常国会での審議、成立が見込まれているが、すでに補正予算の規模については10兆円以上が必要との声が出ている。 経済対策の議論で筆者がいつも違和感を覚えるのは、経済対策を実施すべきかどうかという議論がほとんどされることなく、経済対策の規模や中身の議論になってしまうことだ。 本来、補正予算とは当初予算編成時には想定できなかったような不測の事態が起きたときに編成すべきものである。典型的なのが今年のように自然災害によって甚大な被害を受けたケースで、災害復旧のための補正予算の編成は躊躇なく速やかに行うべきだ。 一方、足もとの経済情勢を確認すると、海外経済が下振れしてい