低賃金かつ不安定な雇用形態で働く非正規社員をどうするかは、日本の長年の課題だ。リクルートワークス研究所研究員の坂本貴志さんは「この10年の傾向を見ていると、自分の意思に反して非正規雇用で働く人の数が急減する一方、女性や高齢者など自らの意思で短い労働時間で働きたい人が増えている」という――。 【図表】非正規社員に聞いた「非正規を選んだ理由」 ※本稿は、坂本貴志『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。 ■「正規が無理だから非正規」は過去の話 過去、社会を大きく揺るがした非正規雇用問題。1990年代後半から2000年代にかけて、自らの意思に反して非正規雇用という働き方を余儀なくされた労働者が多数発生した。 しかし、現代の状況は過去とは打って変わっている。非正規雇用という働き方は、もはや正規の職がないから選ぶ仕事ではなくなっているので