欧州のギリシャ危機によりユーロが売られている。また、金融危機の震源地だったアメリカのドルも多額の財政赤字や景気の先行き懸念により弱い。そして相対的に世界の通貨の中で円の価値が高まっている。円高だ。 出所:日本銀行のウェブ・サイトより筆者作成 こうなると膨大な輸出産業を抱える日本の財界や経済評論家からは、政府による為替介入や日銀のさらなる金融緩和によって円安に誘導せよとの声が高まる。しかし、筆者は円高は必ずしも悪いこととは思っていない。むしろ、現在の円高は日本企業にとってグローバル化を一気に進めるまたとない好機であると考えている。 円が安ければ、相対的に日本の人件費などの製造コストが安くなるので、日本製品の価格競争力が高まり輸出産業に有利となる。逆に円が高ければ、海外からモノを買う時の(日本円で見た)コストが下がるので輸入産業に有利だ。輸出産業の代表はトヨタ自動車やソニーなどのメーカーで、輸