本文600ページ近く、かつ2段組。書店の棚から手に取るのもちょっとためらわれる重厚感である。異様なまでの存在感を放っている。 手軽にちょっとした知識を仕入れられるツールとしての新書が百花繚乱の出版界において、この一見とっつきにくい本がラインナップに並ぶのはなぜか。 8年前に南風社から刊行された、知る人ぞ知る怪著の再刊である『破天』は、インドにおける仏教復興運動を率いる一人の日本人の半生を描いた評伝である。現在の新書の潮流に真っ向から逆らう分厚さと硬質なテーマ性を持つ本書の再刊は、この書物の強い生命力、そして佐々井秀嶺という男の持つ魅力を証明する。 佐々井は1935年生まれ、現在74歳。一説によると1億5千万人にものぼるという信者の頂点に立つ、インド新仏教の二代目指導者である。1967年の渡印以来、一度も帰国することなく40年以上現地で獅子奮迅の活動を行なっている。 仏教関係の書物というと、