経済全体がパニックに陥る「恐慌」と最近ビジネスマンに蔓延すると言われる「鬱」。一見、何の関係もなさそうに見える両者だが、マクロとミクロという違いこそあれ、実は心理学的に見れば同じメカニズムが働いている。しかもいずれも甚大な経済的損失を社会に与えるという結果も同じだ。 だとすれば、そのメカニズムを解き明かすことで、経済的な損失をいかに抑えるか、という対策も見えてくるはず。 人間心理の分析を基に、「恐慌と鬱の経済学」を検証したい。まずはマクロ的現象である恐慌から。 恐慌招く不安の連鎖 米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題に端を発した金融危機を前に世間では、1930年代の世界恐慌に似た景気の悪化が起きるのではないか、あるいは既に起きているのではないかという声が溢れている。 その兆候を示す実例として挙げられるデータとして、例えば自動車販売台数がある。2008年10月の自動車