これは、一体どういうことなのだろうか。この建物の歴史を紐解くところから、その謎に迫りたい。 未完の帝国図書館 実はこの建物、明治に創建された帝国図書館を、平成に入って児童図書館としてリノベーションしたものなのである。1906年(明治39年)に竣工した帝国図書館は、当初、東洋一の規模を誇る壮大な国立図書館として構想された。 しかし、日露戦争後の逼迫した財政状況の下、実際に建設されたのは、計画全体の4分の1にすぎなかった。もし計画通りに完成していたら、どれほどのものだったか。想像すると驚嘆せずにはいられない。 そんな東洋一の意気込みは、実際の建物からひしひしと伝わってくる。繊細に彫り込まれたメダルの装飾、室内を彩る華麗な漆喰細工、精緻にはめ込まれた寄木細工など、建物の隅々まで手が凝らされ、見どころは尽きない。意匠・構造・内装、そのどれを取っても最高級の出来栄えである。
![隈研吾、安藤忠雄らがデザイン。いま、「リノベーション建築」が熱い!(常松 祐介)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/6eb04728a898ae821a0626552d6898737f9e31a8/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fa%2Fd%2F1200m%2Fimg_ada33c560ee7877fc992097509bd98ea107427.jpg)