建築ストックを活用する時代といわれるようになって久しいが、肝心のストックの実態を把握するための基礎資料やデータは、なんともお寒い状況にある。 例えば、耐震補強促進のために既存不適格建築物を増築する際の基準が一部緩和されているが、対象となる「既存不適格」の建築物、特に住宅がどのくらいあるかを示す政府統計データは存在しない。中古住宅、なかでも81年以前の旧耐震基準時代に建てられた住宅では、建築後に違法な増改築を行って既に「既存不適格」とはいえないものが相当数あると個人的には“確信”しているのだが、残念ながらそれを検証できるデータは見当たらない。 住宅ストックの活用やリフォーム産業の将来展望を検討するうえで「既存不適格」と「増改築」は重要なキーワードであるはずだ。ところが、「既存不適格」だけでなく、「増改築」についても実態はほとんどわからない。 住宅の「増改築」については現在、三つの政府統計調査