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2023年3月20日のブックマーク (3件)

  • 風のヒアシンスハウス 3

    1939年に24歳で亡くなった詩人・建築家の立原道造が残した夢、『ヒアシンスハウス』をめぐる物語の 最終回です。今回は、下のイラストの左端、西側のベッド・スペースにある小さな出窓のお話です。 湖面に向かう小さな出窓と 隠れ家的なベッド・スペース ヒアシンスハウス前の道から眺めたハウスの正面は可愛い立面で、出窓がひとつあります。 道を隔てている柵は左側(北側)で少し奥に入っていて、道行く人が座れるベンチが置いてあります。 このあたりのプランは、立原が残した下のスケッチのとおり正確に再現されていて、図面の2のポプラも そのとおりの位置に植栽されています。また、雨樋(とい)と雨水を貯めておく甕(かめ)もスケッチのとおり (甕は、立原のスケッチのように、もっと大きいほうがカッコがいいと思うけど)に出来上がっていて、立原の 思い描いたハウスの佇まいを感じ取ることができるのですが… 一点だけ、この出

    風のヒアシンスハウス 3
  • 風のヒアシンスハウス 2

    1939年に24歳で亡くなった詩人・建築家の立原道造が残した夢、『ヒアシンスハウス』をめぐる物語 の2回目です。今回は、15㎡程度の狭さながら豊かな空間を作り出しているプランの秘密に迫ります。 上画像の手前にブロック石材が見えますが、これはアイ・ストップ(eye stop)と呼ばれるもので、 造園・エクステリアの分野で使われる、人の注意を引きつけるための造形です。 このアイ・ストップは、立原が残したスケッチを忠実に再現したもので、何のための目印かというと、 訪問した人を住宅の戸口に案内するものです。 下のイラストをご覧ください。 ヒヤシンスハウスは、西側から石畳み伝いにアプローチが続き、アイ・ストップの所で左に折れて 建物に入るようになっています。 では、中に入ってみましょう。 このイラストを描いていて思ったのですが、まるでドラクエに登場する家の中のインテリアのようです。 立原は北欧建築に

    風のヒアシンスハウス 2
  • 風のヒアシンスハウス 1

    昭和のはじめ 20歳を過ぎたばかりの一人の若者がいました。 彼は、詩人として、すでに知られていましたが、 建築家として将来を期待されている学生でもありました。 大学を卒業して就職した建築設計事務所で、 生涯の恋人と出会いました。 彼には実現したいと思っていた個人的な建築プランがありました。 それは、当時、芸術家達が集まって住んでいた、ある池の湖畔に 休暇のための小さな住居を建てることでした。 別荘というには、 あまりに小さな間取りに、恋人を呆れさせたりしましたが、 住居の横に立つポールに、滞在中であることを地元の友人に知ら せる旗を掲げるといった楽しいアイデアを次々思い立ちました。 しかし、彼がこの建物を建てることはありませんでした。 ほどなく彼は病に倒れ、恋人に看取られて亡くなりました。 24歳でした。 後には、幾枚かのスケッチやプランと、彼の名刺が残されました。 裏面の住所には、こう記

    風のヒアシンスハウス 1